告知など
- 「勇者彼女がトイレから出てきません。」
- 彼女がうちのアパートに来たかと思ったらトイレに入って出てこなくて、 何をしているかというと、異世界で勇者をしている話。
- 「ダウン症があるとかないとかどうでもいい、誇りがあればいい。」
- そろそろ子育てエッセイなどというものを書いてみようかと思った次第。
- 「小説生成システム開発計画 - プロジェクトNUE」
- 計算機に小説、いや、使い物になる文章を作らせてみようという試みを、 勉強しながらやってます。
2010-11-20 [Sat]
▼ 電子書籍の現在
「電子書籍出版の現在(いま) 〜作家と技術者の両視点からの体験」というタイトルで、情報処理学会誌「情報処理」に解説記事を書きました。この文書は、CreativeCommonsで僕が公開する文書を、編集して掲載するという形をとらせてもらっています。
で、公開しないと意味がないので、公開します。
http://www.earthlight.jp/ebook/
からどうぞ。
さて、この解説記事の依頼を頂いた時、正直迷いました。学会の出版物はどうしても執筆から刊行までにタイムラグが発生します。たとえば今回の原稿だと、初稿は8/31が〆切で、そこで一旦提出して、こちらから再度推敲したものを出し直したのが9/16でした。そして会誌の発行は11月14日です。
しかし、本文中にも書きましたが、今年のこの流れの中で、情報処理学会や情報処理技術者が電子書籍に無関心でいたわけではないという記録だけでも、残しておく価値があるだろうと考えました。
予想していた通り、原稿提出前後にGALAPAGOSが発表になったり、10月に入って、総務省の電子書籍にまつわる業務の委託先が決まったり、EPUB3に関しては活発な動きがあったりとしましたが、9月の時点での話なのだなと思って読んでください。
そして、やはり落穂拾い的なことはしておかなければいけないと考えました。
まず、フォーマットについてです。
EPUBの国際化については、あえて詳細には触れませんでした。特に村田真さんの名前を出すこともしませんでした。この理由は、はっきり書きますが、下手な横槍が入ることを若干危惧したからです。しかし、考えなおしてみれば、直接村田さんとコンタクトをとって意見を伺うべきだったかもしれません。とは言え、EPUB国際化については、総務省プロジェクトの一部で予算がつくことになり、僕がやきもきしたところでどうなるものでもなかったのかもしれません。
DAISYについて触れていないのは、単純に調査が間に合っていなかったというのと、ページ数的に入らなかった(実は元の原稿から少し削ってあるくらいだし)からです。そのわりにJepaXを紹介しているのは、中間フォーマットの文脈で、類似例として出しておく意味があると考えたからです。
三省デジ懇と中間フォーマットとXMDFの関係については、なるべく中立の立場で書いたつもりです。少なくとも、執筆時点では中間フォーマットについてはとにかく「分からない」だらけで、書きようがなかったというのが正直なところでもあります。
更に言うと、XMDFを巡るシャープの動きが、個人的には非常にシャープらしからぬ政治的肉食的な印象を受けるのですが、そういった色眼鏡も書いていません。解説記事の範囲を越えますから。
ただ、総務省からの委託先発表の前後に、XMDFや中間フォーマットに関する提灯記事がいくつかマスメディアに掲載されたことも、やはりシャープらしからぬ動きだなとは感じています。
ああ、あと世間でiPhoneやiPad用に出ているアプリ系の電子書籍についても触れていません。これは単純で、アプリはアプリであって書籍ではないという判断をしたからです。とは言え、ファミコンでしか動かないソフトだってゲームはゲームだろう、というロジックはもっともです。でもIE用HTMLで書かれたWebとNetscape用HTMLで書かれたWebが分断されていたら、やっぱり変ですよね?
更に、いわゆる「自炊」について、編集委員の先生から指摘されましたが、これについてもあえて言及しませんでした。これは僕の意志によるもので、言及する価値はあまりないと判断したからです。同時に、言及するとなると、深い所まで議論しないといけない問題が眠っているからです。
以上、現在の切り取る資料として完全とはとても言えませんが、もしこういう形で「記事として残す」ことに意味があるのであれば、それはきっと「書籍として残す」ことの意味と同じようなことなのだと思うわけです。