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2011-03-19 [Sat]

地震から一週間

3月11日の午後に東北沖でマグニチュード9.0の地震が発生し、その後の津波と合わせて、東北地方を中心に大きな被害が発生した(という表現はメモのため)。

地震が起こった時、僕は幡ヶ谷の自社にいました。ビルの6Fということもあり、相当に大きな揺れを感じました。東京は震度5でしたが、実際これまで体験したことのない揺れでした。

地震の間、またその後も、社内・社外のネットは動き続けていました。twitterを見ていると、みんな同時に地震についてつぶやきつつ、しかし情報源がなく、徐々に東北らしいというつぶやきがTLに流れたという状況でした。

結局、会社のテレビをつけてNHKを流しました。

この時一番困ったのは、入院している家族に連絡をとる手段がないことでした。病院なので、携帯電話は切ってあるし、ネットも向こうにはない。この状態で、病院や病棟に電話をするのは論外だろう。この部分については、また別途書きます。

その後、会社の業務は終了になったので、電車が止まっている状態ながらも帰宅することにしました。

家まで10km。道もわかるし、歩いて帰れないことはないだろうと。会社を出たのが午後5時半でした。

甲州街道は、同じように帰宅する人が、黙々と歩いていました。

不思議な流れでした。

たしかにちんたら歩いている人はいるし、たまにケータイがつながったのはいいけど「さっきつながんなくて、え?だからつながんなくて、」とか、本題に入らない会話を無駄にしている人とかはいたけれど、別に喧嘩になることもなく黙々と歩く。自動車もゆっくりしか動いていないけれど、暴動になることもなく。途中目が不自由な人の手を引いて一緒に歩いている人もいました。

あー、これが日本なのだな、と。

日本人すげーな、と。

マイケル・サンデル教授の「これからの『正義』の話をしよう」の冒頭に、フロリダを襲ったハリケーンの後、オーランドで2ドルの水が10ドルで売られていたことに対して、便乗値上を禁止する法律を作るべきか、いやそれはそういう状況下での市場原理だ、といった議論があったことが書かれている。

誰かのtweetに、「日本ではそういう時に水を売っている店は無料で提供する」というのがあった。

納得してしまった。

サンデル教授が語る、「これからの正義」というものに、我々日本人が飛びついたのは、日本は動なってしまうのだろうと言う気持ちがこの数年蓄積されてきたからだと思う。

しかし、サンデル教授に教えてもらわなくても、どうやら日本人の正義は最初から日本人の中にあったのではないか。それは単純に、水がなくて困っている人に水をいくらで売るかではなく、分け合いましょうというだけのことだ。

あえて、前向きにこれからのことを書こうと思う。

今回の震災の中での情報交換で、インターネットは非常に大きな役割りをになった。それは、都心部のダメージがそれほど大きくはなく、通信インフラのコアな部分は生き残っていたことと、それを必死に維持しようとしていたインフラエンジニアの力に依るものだ。1995年の阪神淡路の時と大きく違うのは、インフラエンジニアの仕事が大きくなっていると同時に、普通のエンジニアの力に頼っていて、それがきちんと動いていたという点だと思う。この部分も何かの方法で情報を集めて整理しておきたい。

そして、インターネットで(今回の場合は主にtwitterで)行われた情報流通の中で、一次情報(今回の場合は主に記者会見しかなかったのだが)が手に入れば、それを適切に解説する専門家が現れ、そこに人が集まるという構図が自然発生した。

デマも流れが、それを訂正するスピードも早かった。意欲を書き立てるtweet、冷静になれと呼びかけるtweet、色々なtweetが大量に、しかしバランスよく流れていた。

この動きの中に、今後の変化の兆候をみてとる人も少なくなかった。

実際、この地震を境界に日本は変化するだろう。

端的に言って、「リーダーが能無しでも、この国の国民は動けてしまう。だったら、国民が自律的に動くことを出発点にした国を作りなおせばいいではないか」

梅田望夫的に言うところの「個のエンパワーメント」の先にある、「エンパワーメントされた個が、自律的かつ能動的に動き、それでいて協調動作する」世界の芽が見えたように思う。

それはおそらく、戦後の民主化から個人主義への変化し、その先にどこに向かえばいいのか分からなくなっていた我々が目指す先なのだと思う。

日本は再生する。生まれ変わる。その主体となるのは、自律的でありながらも連携できる個人であり、そうして出来上がるであろうものは、欧米をお手本にした民主化ではなく、日本人が作り上げるパラダイムなのだと信じたい。


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