告知など
- 「勇者彼女がトイレから出てきません。」
- 彼女がうちのアパートに来たかと思ったらトイレに入って出てこなくて、 何をしているかというと、異世界で勇者をしている話。
- 「ダウン症があるとかないとかどうでもいい、誇りがあればいい。」
- そろそろ子育てエッセイなどというものを書いてみようかと思った次第。
- 「小説生成システム開発計画 - プロジェクトNUE」
- 計算機に小説、いや、使い物になる文章を作らせてみようという試みを、 勉強しながらやってます。
2011-03-21 [Mon]
▼ 病院の情報化について
家族が大学入院しています。観察していると病院のインフラというのは非常に面白いことが分かります。
非常時のボタンがかくしてあったり、停電時に使えるコンセントが色分けされていたり。
ところが困ったことに、はるか昔から言われているIT技術の導入というのが、最先端の大学病院であっても非常に遅れていることが分かりました。
まず、電子カルテは普通に導入されています。でもこれは個人病院でも新しいところは導入されていますね。
さて、検査室で、超音波検査の装置がベッドの隣にあり、その隣に電子カルテの端末があります。
超音波検査の装置を使いはじめる時に、医者は「えーと、この患者の番号は……」と、電子カルテの画面を見て、それを検査装置に入力しました。つまり検査装置はネットワークにつながっておらず、アカウント情報の一元管理ができていないのです。
入院手続きに行きました。事務手続きをして、書類が入ったバインダを渡されて、それを病棟に提出しました。なんらかの電子タグがついているのかと思ったら、そうではありません。ただの紙。
紙はすばらしいデバイスだけれど、紙+タグにすればもっと便利になるのに。
患者は腕にタグを付けられます。でもただ名前が書いているだけ。ICチップとか入ってない。
次に患者に提供されるインターネット環境について。
結論から言うと、提供されていません。病棟によっては使えるらしいけれど、家族が入院した病棟では駄目らしい。
まず、最初にiPadを持ち込みたいと相談したところ(当然、WiFiの基地局なども持ち込むつもりだった)、看護師さんが偉い人のところに相談に行って戻って来たら「iPadは駄目なんですけど、かわりにこちらにテレビ(有料)があるので、これで……」と言われてしまった。「ネットのかわりにテレビをどうぞ」という発言というか発想が(もちろん、これがその看護師さん本人の言葉かはわからない)、2011年に目の前に現れるとは思ってもみなかったぜ!という驚愕の体験。
その後、地震が発生し、一番困ったのは入院している家族に直接連絡が取れないことだった。病院なので携帯電話は律義にも切っているし、混乱している中で病院や病棟に直接電話連絡をするのは避けるべきだろう。じゃあ、どうするの?ということになる。結局向こうから、公衆電話経由で連絡があり(なんと個室なので、最先端コミュニケーションツールの公衆電話(緑)が設置されています!)、亊無きを得たのだが、その後も病院の様子が分からないから見舞に行っていいのか分からないという状態が続いた。
しかも、地震後や計画停電の期間に、病院の公式サイトにはそういう類のアナウンスが一切ない。
ひどいね。
またもや看護師さんに、緊急時に外部と連絡する手段はどうすればいいのかと聞いたら「そちらの公衆電話をお使いください。災害時には無料になります」と言われ、「災害時の連絡には電話を使え」なんてことを2011年に聞くとは思わなかったぜ!とまたもや驚愕。
しかし、落ち着いて考えてみたわけだ。
医師も看護師も、非常に忙しい。しかも勤務中は院内では携帯電話が使えない。病院の中でインターネットに接続している端末は限られている(これは本当。コンピュータが沢山あるけれど、外部のネットワークにはつながっていない)。
そんななかで、常にtwitterを見たり、あちこちのサイトを巡回している時間の余裕がどれだけあるだろうか。医療従事者の間に、ネットがないと生活できないとか、外部とのコミュニケーションに不便するという感覚が、ほとんど根付いていないのではないだろうか。そして、それはこの先もほとんど変化することはないだろう。
駄目だこりゃ。構造的に進歩しようがないのではないかしら。
しかし一方で、医療現場でiPadを活用する取り組み的なこともちらほらと耳にする。
やはり、今の感覚で仕事をしている医療従事者が、その感覚を変更せずに使える道具を作らないといかんのだろうな。
ユーザーの感覚を変えるのは、時には暴力的にでも必要なことではあるけれど、そう簡単なことではない。